映像制作の大御所はといえば、時代は変われど、やはり劇映画であると言えるのではないのでしょうか。実際にも、最も多くの人々に親しまれている映像制作による作品はといえば、一般的には、単に「映画」とのみ呼ばれている劇映画である、ということに異論を唱える人はいないでしょう。しかし、劇映画というジャンルの映像作品には、本格的な演技ができる俳優という存在と、その俳優の演技指導を行って、一つのドラマとしてまとめ上げる監督という存在が不可欠なのであり、同時に、それを物心両面から支える多くのスタッフという存在があって、初めて成立するものであるのです。そもそもが、劇映画というものは、元々、長い歴史を持つ舞台演劇というものを映像作品として発展させたもの、という土台を持つものですから、映像技術だけで成り立つものではなく、フィクションの核を成すドラマトゥルギーというものを骨格にして、それを映像作品として再構成する、という独自のノウハウが必要とされるものと言うことができます。

この意味からも、劇映画というジャンルの特徴とは、演劇というドラマトゥルギーと映像表現との結合によって、この両者を再構成するという映像制作のあり方、と定義することもできるわけです。従って、歴然たる映像制作でありながらも、そこには、同時に舞台演劇の持つドラマトゥルギーという骨格要素が不可欠なものとしてあるのであり、この両者が渾然一体となったところに、優れた映像作品によるドラマとしての劇映画というものが成立することになるのです。